ピグマリオン効果
教育用語のうちの一つに,ピグマリオン効果という言葉があります。教育心理学における心理的行動の1つで、教師が期待をかけると、学習者の成績が向上する傾向が見られるという作用です。
この言葉に初めて出会ったのは、大学2年生のときに、教員採用試験の勉強をしていたときです。
最初は何のことかわからず??と思っていたのですが、教員養成セミナーという、教員試験用の問題集(雑誌)を読んで理解しました。
教師が生徒さんにある程度の期待を持って接していると,生徒さんは(その期待に応えようとして)良い意味で頑張り、
しだいに学習効果が表れる(成績が上がっていく)ということです。
例えば、家庭教師をしていたとします。
先生が何も考えずに淡々と教え子に勉強を教える場合と、ある程度期待を持って教え子と接しながら教えている場合だと、後者の方が学習効果が得られる、とのこと。
もちろん、教師が生徒さんに期待することは簡単なことではありません。
教師も人間なので、もしもAという生徒さんとBという生徒さんがいた場合、成績の良いAに期待するのは簡単なことでしょう。
ところがBの場合、教師がいくら教えてもなかなかわかってもらえず、成績もイマイチの場合、教師がその生徒に期待するのはなかなか難しいものです。
「この子は何度説明してもわかってくれないなぁ」
と教師が思ってしまうとアウト。その生徒さんの成績はなかなか上がりにくくなってしまいます。
僕は大学生のとき、家庭教師と塾講師のアルバイトをしていました。
塾講師のアルバイトをしているときに、僕は中学2年生の2つのクラスの英語・数学のクラス授業の担当をしていました。
Aクラスはテストの平均点が70点以上の生徒さんが集まっているクラス。
Bクラスはテストの平均点が50点前後の生徒さんが集まっているクラス。
Aクラスの授業はとても楽しく、1つのことを教えると確実に理解してもらえる生徒さんの集まり。
授業もスムーズに進んでいきます。生徒さんに対する期待も大きくなっていきました。
ところがBクラスの授業は、いくら説明してもなかなかわかってもらえず、質問を山のように受けました。
ただ、僕はそこでふてくされたり怒ったりはしませんでした。
ピグマリオン効果を信じ、我慢強く授業をし続け、生徒さんの質問にも一つひとつ丁寧に答えていきました。
すると半年くらいかかったのですが、Bクラスの生徒さんのテストの平均点が全員ではありませんが、一部の生徒さんのテストの平均点がグッと上がりました。
もちろんうれしかったです。と同時に「ピグマリオン効果って本当なんだなぁ」と実感しました。
大学2年生~大学3年生の終わりまで続けた塾講師のアルバイト時代の経験をもとに、僕の指導スタイルは
「生徒さんに腹を立てず、辛坊強く教えて、ちょっと期待する」というスタイルになりました。
やがて大学を卒業し、小学校の教員になり、辞め25歳のときに「富山県家庭教師協会」という、家庭教師の大手の会社でアルバイト→プロ家庭教師という手順をたどって
本格的に家庭教師の仕事にのめりこんでいきました(家庭教師を本業としていました)
家庭教師協会時代は、受け持った生徒さんの約80%~90%は「このままだと県立高校合格は厳しい」という成績の生徒さんばかりでした。
もちろん、受け持った当初は「勉強が嫌い」という生徒さんばかり。
僕の場合、受け持った生徒さんは約70%が中学3年生でした。
とにかく大変でした。親御さんからのプレッシャーは大きく,家庭教師の授業が終わり、生徒さんの家を出る前に
「先生、どんなもんでしょうか?受かりますか?」とよく訊かれました。
もちろん、受け持った生徒さんが全員県立高校に合格したわけではありませんでした。
残念な結果に終わってしまった生徒さんもいました。
ただ、親御さんによく「子供が勉強するようになりました。ありがとうございました」と最後の授業のときに言っていただきました。
今は僕は大門で個別指導の塾を1人で開いていますが、「ピグマリオン効果」を指導のモットーにして、すぐに結果を求めず、生徒さんに少し期待しながら
日々、授業を行っています。
勉強だけではなく、スポーツの世界でも「ピグマリオン効果」は期待できるものだと思っています。
        2025年11月04日 05:36
      
    