中学生が学校以外の場所で勉強を習う場合、【1】一斉授業形式(クラス授業形式)の学習塾で習う 【2】個別指導型の塾で習う
【3】家庭教師の先生に習う
の3パターンがあります(オンライン家庭教師および映像授業に関しては、僕は指導経験がないので割愛させていただきます)
中学生の場合、生徒さんの成績にもよりますが、一番成績が伸びるのは家庭教師?なのでしょうか?
とりあえず、それぞれの指導パターンについて検証していきます。
【1】一斉授業(クラス授業)の場合: 生徒さんの成績によって向き・不向きがあります。
一番クラス授業に向いている生徒さんは、難関校を目指している生徒さんです。
クラス授業を展開しているような塾は、地元でも評判の大手の塾が多く、教えている先生も大学生ではありません。
指導歴が何年もある、正社員の先生が授業をされています。
大学生の先生はそもそもクラス授業を受け持たせれもらえる、という確率はかなり低いです。基本、採用されません。
クラス授業をする場合、教える側はクラスの生徒何十人分の授業準備をします。
普通はクラスの中の成績がちょうど「真ん中の成績の生徒さん」を想定して授業を組み立てます。
こういう説明をすればわかってもらえるだろうな、この問題は半分くらいの生徒さんはわからないだろうな、と想定しながら授業準備をします。
特に数学の場合、つまづく箇所はたいてい決まっているので、その部分のみに特に時間をかけて授業準備をします。
ではどういう所で生徒さんがつまづくのかがわかるようになるのか? これは実際に教える経験を何回もこなさないとわかりません。
そもそも先生自体が「指導経験が豊富」でないと、つまづく箇所がわからないのです。
塾で勉強を教えるような先生は、大半が中学時代は成績は学年でトップクラス、高校時代もそこそこ成績優秀、地元の国公立大学または難関私立大学OBの先生が多いです。
ただ、そういった先生でも指導初期のころは、「自分にっとは簡単で当たり前なこと」でも習う側の生徒さんにとっては「難しい」と感じる問題があることには気づきません。
僕もそうでしたが、クラス型の大手の塾で教えていた時、授業準備をする際に、「この問題は説明するのに10分あれば大丈夫だろう」と思っていても、いざ
授業をすると生徒さんが全く理解していなく、「先生わかりません」と質問されました。
この時点で僕は焦りました。「えっ、こんなこともわからないの?」と思うのです。
自分の中では「この問題は簡単だろう」と思っていても、自分の説明が下手だと生徒さんには全く伝わらず、理解してもらえないのです。
もちろん、生徒さんがわからないのは教え方が下手だからです。
同じ問題でも、ベテランの先生が教えると、生徒さんはあっさりと理解します。
若い先生はこの繰り返しです。この経験を何回もしていくうちに、教えるコツをつかんでいきます。
当たり前ですが、最初から教え方が上手な先生は存在しません。
よく学歴のある大学生が教えている、とうたって生徒さんを募集している塾がありますが、「頭がいいこと」と「教えるのが上手なこと」とは別なことです。
よくプロ野球の世界で「名選手、名監督にあらず」と言いますよね? それと一緒です。
自分の能力が高すぎて「なんでこんなこともわからないのか?」と思い、そして選手育成に失敗してしまう、というのはよくある話です。
指導経験を積むしかありません。 よってクラス授業をするのは「スキルのいる難しい仕事」だと僕は思います。
まれにクラス授業を大学生に任せている塾もありますが、やっぱり時給は「高い」です。
それだけ授業準備に時間がかかる、ということです。
よく「塾のバイトはブラックだ」と言われていますが、それは授業準備に時間がかかり、その分の給料は出ないからです。
さて、クラス授業最大の弱点は「質問しにくい」ことです。どうしても大勢の生徒さんといっしょに授業を受けているので、そもそも「質問できるような雰囲気」ではありません。
学校の授業を想像すればわかりやすいかと思いますが、塾だからといって必ずしも「質問が飛び交っているアットホームな授業」というのは、ほとんど存在しません。
先生の授業を「自力で」理解するの能力がどうしても必要になってきます。自分で理解するしかありません。
それができない生徒さんにとてはクラス型の塾は「学校といっしょ」になってしまいます。
よって難関校を目指せるような学力を持ち合わせた生徒さんにとっては、「一斉授業形式の塾」は向いていると思います。
定期テストの点数が半分以下の生徒さんにとっては、クラス授業を選択するのは、ちょっと厳しいかもしれません。
クラス授業の塾に通っている生徒さんはハイレベルな生徒さんが多く、「他校の生徒さん」も混じったりしていてほどよい刺激もあり、最高の環境だと思います。
ライバルがいるとさらに成績は上がっていくことでしょう。
【2】個別指導型の塾の場合
僕は某大手の「家庭教師派遣会社」で専属の家庭教師をしてから個人塾を立ち上げたのですが、個別指導で教える場合、単純に「家庭教師の2倍疲れます」
家庭教師の場合は「マンツーマン指導」のため、生徒さん一人のために授業準備をしていれば良いのですが、「1対2」または「1対3」型の個別指導の場合、
ほとんどの場合、「学力が異なる生徒さん」を同時に教えることになります。
はっきりいてめちゃくちゃ疲れます。大学生におススメはできません。
僕も初めて個別指導の授業を担当したときに「しまった」と思いました。
僕は31歳のときに、福光で「1対3」の個別指導の塾をオープンしたのですが、最初のころは「頭が爆発しそう」でした。
生徒さんの都合によって授業を組むので、当然「学力バラバラ」「学年もバラバラ」の状態から授業がスタートします。
授業準備は単純に家庭教師の2倍かかります。
事前に問題を解くのはもちろん、生徒さんがつまづきそうな所を予測して「補助的な問題を作ったり、説明を考えたりする」時間も必要になってきます。
1対3授業は本当に大変でした。二度としたいとは思いません。
個別指導の塾には、「1対2型」の個別指導と「1対3型」の個別指導の塾が大半を占めていますが、個人的には、1対2指導型の塾をおススメします。
1対3型の塾は、教える先生は本当に大変です。
よっぽど指導経験を積んだ先生でないと、結果を出せるような授業はできないと思います。
たまに「1対4」とか「1対5」指導の個別指導?とうたっている塾の宣伝とかを見かけますが「どうやって授業しているのだろう??」と不思議でなりません。
そもそもそれは「個別指導」とは言わないと思います。立派な「集団指導」だと思います。
僕がいつも不思議に思うことは、なぜか「個別指導の塾のアルバイト先生の時給が異様に安い」ということです。
あんなに大変な仕事なのに、しかも授業準備に対する時給は発生しないのに、なんであんなに格安なのだろう?と思います。
絶対におかしいと思います。
【3】家庭教師の先生に習う場合
普通に考えれば誰でもわかるかと思うのですが、家庭教師は最強です(先生との相性にもよりますが)
自分の習いたいところを習える、塾みたいに「決まったカリキュラムが存在しない、完全オーダーメイドの授業」になります。
質問もいつでもできる、こんなに恵まれている学習環境はありません。
親御さんも塾まで送迎する必要もない。まさに「良いことづくし」です。
ただ、家庭教師の最大の弱点は「授業料が高い」ことです。
ここで、家庭教師の場合「2つの月謝パターン」が存在します。
1つは「月謝は授業料と先生の交通費のみ」の場合、もう1つは「授業料は塾なみ、または下手すると塾よりも割安」なのですが、「教材費用が恐ろしく高い」
というパターンです。
よくコンビニやスーパーなどに「塾よりも安い家庭教師」といったパンフレットを見かけますが、確かに授業料は家庭教師にすれば格安です。
でも決して「教材費用がかかります」とは書いてありません。
当たり前ですが、家庭教師派遣会社としては、家庭教師を先生にお願いする、ということは家庭教師の先生の給料が発生します。
その料金だけで家庭教師の会社は経営が成立しますか?
そんなことをしていたら、たちまち「倒産の憂き目」にあってしまいます。
もちろん、利益を出すために「高額な教材費用」をお客さんからとっています。
中には「ローン」を組んでいる会社もあるので、この点は十分に注意したいところです。
月謝の安さに飛びつくと思ぬ痛い目にあいます。
しかもこのような家庭教師の先生は決まって「大学生が大半」です。
僕も学生時代家庭教師をしていましたが、「指導のうまさ」は通常、たいして期待できません。素人同然です。大学生なので仕方がありません。
それをわかったうえで、お願いするのか?ということです。
もちろん、大学生の場合、生徒さんとの年齢も近く「お兄さん」「お姉さん」のような親しみやすいメリットがあります。
生徒さんとの相性を考えると、若い先生というのはそれだけで「大きな強み」になると思います。
また高校生の場合、先生に大学のことについてもいろいろ教えてもらえます。
ベテランの先生がいいのか?大学生の先生がいいのか? 好みの問題だと思います。
一方、家庭教師を職業にしている「本業の家庭教師の先生」に習う場合について。
僕の本音を言わせてもらうと、一番の「当たり」です。
確かに授業料は高いです。普通の塾の2倍~3倍します。
でも、先生は「プロ」です。それを仕事にしているので、指導経験が違います。
しかも大手の家庭教師派遣会社の場合、もしも生徒さんからのクレームが続いたりすると容赦なく「解雇」になります。
実際は解雇というよりも「仕事が回ってこない」状態になります。つまり「辞めてください」ということです。
毎月「指導報告日」があり、その日はかなり「先生はブルーな気分」になることが多いです。
生徒さんの成績がなかなか上がらないと、上からかなり「追及されます」これは先生にとってはかなりつらいところです。
学生の家庭教師みたいに「若いからねぇ」という言い訳はいっさい通用しません。
半分「自営業」みたいなものです。
結果を出さないと仕事が来ません。
もちろん、辞めていく先生もたくさんいます。
僕は家庭教師を本業にしていたころ、よく友達から「座ったまま仕事できて楽でいいね」とか「ほかにバイトはせんが?」とか
「ちゃんとした会社に就職すれば?」とか嫌というほど言われてました。
プロの家庭教師の実態を知らない人からすれば「短時間労働」の家庭教師が楽な仕事に思えたようです。
プロの家庭教師の先生の給料は決して安くはありません。
サラリーマンなみの給料、それ以上の給料をもらっている先生はたくさんいます。
確定申告に行くと、「プロの家庭教師の先生ですね?」とよく言われます。
それだけプロの家庭教師の先生は存在する、ということです。
僕は富山県と新潟県でプロの家庭教師をしていましたが、びっくりするような給料をもらっている先生もいました。
教え子さんの「兄妹」とか親戚とか「職場の仲間のお子さん」などからのオファーが来るのです。
そういう先生は仕事が絶えることはなく、やがて独立してフリーの家庭教師になっていく先生もいます。
もちろん、授業準備にはたっぷりと時間をかけ、年中問題集を解いているような先生です。
そういう先生も実在します。
プロの先生の場合、その中でもさらにランク分けがされていて、ランクによって先生の時給が異なります。
そういう意味ではプロの家庭教師の先生に教えてもらえるというのは、ある意味ラッキーなことです。
プロの先生の場合、日中は「不登校の生徒さん」や「浪人生」の指導をして、夕方からは「中学生」「高校生」の指導をしている、ということもよくあります。
僕自身の給料を振り返ってみても「家庭教師」をしていたころが一番給料が良かったです。
以上、長々と思いつくままに自分の経験をもとに書いてきました。
少しでも参考になれば幸いです。
頑張ってください!
2025年02月04日 04:36