大学時代に出会った「いい夫婦」
僕は大学1年~3年生まで、下宿生活をしていました。その下宿は食事付きの下宿でした。月曜日~土曜日までは大家さんがご飯を作ってくれて、日曜日だけは食事が出ない下宿に住んでいました。
そのため、毎週日曜日の夜は、同じ下宿の友達と外食をしていました。
いくつかお気に入りの店があって、僕はある店がお気に入りでした。店の名前は忘れてしまったのですが、その店はカレーライスの量が多く、僕好みの店でした。
その店は夫婦で経営されている店でした。
当時、大学の近くにある下宿は、僕のいた下宿と同じように、日曜日は食事が出ない下宿がたくさんあり、そのため、日曜日は平日と比べて外食をしている学生がたくさんいました。
僕の好きだった店は日曜日は客が多いため、店内は忙しく、マスター(30代の男の人)は一生懸命に料理を作っておられました。
毎回のように、日曜日はマスターが奥さんに「今日は日曜なんだよ!」とキレていました。
奥さんは反論することもなく「はい」とだけ返事をして黙々と料理を作っておられました。
僕は「うわ~ 奥さんかわいそうに」といつもその店に行くたびに思っていました。
ところが、ある日、偶然僕が平日のお昼過ぎにその店に食べに行った時のことです。
その時はお客さんも少なく、店内はガラガラでした。
店に入ると、いつもは怖いマスターが奥さんと二人で仲よく、いすに座ってテレビを見ておられました。
テレビを見ながら楽しそうに会話しておられました。マスターは普通のテンションで、僕はそのとき日曜日とのあまりにものギャップに驚かされました。
「おぁ、めっちゃ仲いいやん!」と感動しました。
「奥さんはできた人だなぁ」としみじみと思いました。
旦那さんが忙しい日曜日は、八つ当たりされてもグッとこらえて、忙しくない平日の昼下がりはほんわかとしている、そんな夫婦を僕は当時うらやましく見ていました。
昨日の夜、なぜか、ふとその店のことを思い出しました。
大学時代はいくつかの店で食事していましたが、僕はその店が一番好きでした。
夫婦っていいなぁ、と思っていました。
2024年08月12日 06:32